「お客様の幸せのために」。
そんな言葉につられて訪れた住宅工務店で、実際に社員と接してみたら、「なんだか思っていたのと違う……」とがっかりされた経験がある方は、意外と多いのではないでしょうか。
会社としてどんなに立派な理念をもっていたとしても、社員がそれをきちんと理解していなければ、それは絵に描いたモチと同じです。
工務店は、あなたの家づくりの成功を左右する重要なパートナーです。いい工務店を選ぶには、その社員を見きわめることが必要です。
今日は、受付窓口・営業マン・現場監督・設計士・事務など、どの職種にも当てはまる「住宅工務店のいい社員」について、考えてみたいと思います。
社員を見れば工務店の良し悪しが「わかってしまう」理由
毎日満員御礼のディズニーランドに人気がある理由は、よく言われるように、その「おもてなしの心」にあります。それを体現しているのは、9割を占めるアルバイトのスタッフさんたちです。ディズニーランドを訪れ、1日を楽しんで帰る一般のお客様にとって、「ディズニーランドの顔」は、株式会社オリエンタルランド(という会社が経営していることも知らない人が多いのではないでしょうか)の経営者ではなく、スタッフが作っているのです。
素晴らしい理念があり、それを実践する社員がいて、初めて、会社はすばらしい会社になることができます。ですから、たとえ経営者を知らなくても、社員を見れば、その会社の質というのは自ずからわかってしまうものなのです。
会社によって表現は様々ですが、ほとんどの住宅工務店が掲げている理念は、「お客様を幸せにすること」でしょう。その思いを、その会社の社員(営業マン、現場監督、事務の担当者にいたるまで)から感じることができれば、その会社を選んでも大丈夫でしょう。
「そんなに感覚的に選んでも大丈夫? もしその会社の建てた家がよくなかったらどうするの?」
そう思われる人もいらっしゃるかもしれませんが、そういった心配は無用です。
いい家を建てるために、その工務店のもっている技術や、家に使われている素材、設備の性能などを一生懸命調べる方はたくさんいます。
でも、実際に家を建てた方にお話を聞いてみてください。
「いい家づくりができた」という達成感をお施主様にもたらしているのは、その工務店の技術力や家の性能などよりも、いい社員やいい職人に出会えたという人間的な要素であることに気づかれることと思います。
これは、決して、質のよくない家を、社員の人柄によってカバーしたというようなことではありません。
今の住宅は規格化が進んでいますので、特別な技術が必要になるようなことはあまりありません。言ってみれば、どの工務店に頼んでも、品質的には問題のない家ができあがるはずです。
ところが、実際には、建てた家に満足していただける場合と、満足してもらえない場合があります。よくあるケースとしては、間取りや、内装のセンスといった部分でしょう。
そういった部分は、お客様を理解しようとする社員や職人がいなければ、満足していただけるような仕上がりを実現することはできないのです。
つまり、やはりお客様の満足を左右するのは、その工務店の社員なのです。
会社としては立派な理念を掲げているのに、その工務店の社員にはそれがまったく感じられないような会社も、実際にはあります。
あなたが工務店を訪れ、営業マンと話してみて、
「ホームページには、お客様の幸せが第一と書いてあったのに、そこの営業マンと話してみたら、なんだか会社の利益のことばかり優先しているような印象だった」
そんな風に感じられたら、その工務店には要注意です。
あなたが感じた違和感の原因は、社員がその会社の理念を理解していないか、あるいはその理念が単なる「建前」にしか過ぎないか、そのどちらかである可能性が高いと言えます。
いずれにしても、その工務店は、あなたが満足できるような家を建てることができないでしょう。
どんな社員がいる工務店がいいのか
いい社員とは、お客様の理想や悩みごとを、ていねいに、念入りに聞き出して、それを理解する努力をする社員のことです。これは、おそらく、職種も年齢も関係ないでしょう。
工務店の社員ではなく、ある設備メーカーさんの社員さんの例をあげてみたいと思います。
お客様がメーカーと相談して、キッチンなどの設備を決めると、メーカーは工務店に、お客様が選んだ製品の情報を送ってきます。ただ単に工事を進めるだけなら、その製品の型番が書いてあれば十分です。ところが、その設備メーカーさんの担当者は、お客様の状況をことこまかに書き加えてくれるのです。
そのお客様が、他の製品とどちらにするか迷っていたこと、もしかしたらまだ迷っていて、最終的に別な製品を選ぶかもしれないこと、そうなった場合は、住まいのプロフェッショナルである工務店として、その製品が適切か、それとも別な製品のほうがいいかどうかなどをアドバイスしてほしい。
そんなことが書いてあります。
これを受け取った工務店の側では、人によっては、よけいな情報を書き込んできた、と面倒に感じるかもしれません。でも、この担当者の気遣いは、お客様の気持ちによりそった素晴らしいものだと言えるのではないでしょうか。
反対のケースを考えてみましょう。
もし、これをお読みの皆さんが、体調不良でお医者さんに診てもらったとしましょう。そして、なんだかいつもの風邪とは違う感じがするので、それを一生懸命説明したとします。ところが、お医者さんがそれを聞き流して、「ああ、風邪ですね。薬出しておきますから」というひとことで片づけられてしまったらどうでしょう。いくらその人が名医であっても、そしてその診察が正しかったとしても、なんだかがっかりしてしまいませんか。
どんな職業でも言えることだと思いますが、お客様を正しく理解しようとする人は、そのお客様の背景にあるものを聞いて、それを必要な人に正確に伝えようとするものです。
そうすることが、その人の「基準」になっているような場合、流れ作業のようにお客様を扱うことは、かえってストレスになってしまうのです。
工務店の社員と接するときは、ぜひ、その人の「基準」がどこにあるかということを探ってみてください。
あなたが「これにします」と何かを選んだときに、その理由を知りたがったり、それによってどのように理想の生活が実現するのかなど、いろいろな情報を聞こうとする社員なら、その人は、お客様の幸せを「基準」にしていると言えます。そういった社員に出会うことができたなら、「当たり」でしょう。
工務店の「いい社員」はどうやって見分けるか
ここでひとつ、「いい社員の見分け方」を紹介しましょう。
それは、お客様を応接室にご案内したり、お電話を取り次ぐときの応対が丁寧なものかどうか、注意してみればいいのです。
言葉づかいの話ではありません。聞いたことにしか答えない、お客様が何か言いたそうにしているのに、それを聞き出すそぶりも見せない。そんな応対をしていたら、それはあまりいい社員とは言えないでしょう。
当たり前といえば当たり前のことなのですが、「技術と人柄は別の話。いい家が建つのなら、多少我慢することになってもしかたがない」と目をつぶってしまうお客様は意外と多いのです。
でも、こういったことは「一事が万事」ですから、そこを軽くみるべきではありません。
ものごとの本質というものは、何気ない部分にあらわれるものです。
そういった意味では、経理や受付窓口のような“裏方”の社員に注目してみてもいいかもしれません。会社の本質というのは、売上と直接関係のない、そのような業務の社員にあらわれやすいのです。
会社の売上を直接左右する営業マンは、お客様の機嫌を損ねないようにしながら、契約までもっていくためのトークを日夜訓練しています。ちょっとひねくれた言い方をしますが、彼らは、「売上を伸ばしたい」という本音を押し隠しながら、「お客様のため」という建前を装う技術を訓練しているわけです。
ところが、数字と直結しない、事務や受付窓口の社員は、そのような営業トークを仕込まれているわけではありません。そこに、会社の「素」の姿が出てしまうわけです。
その人たちのお客様の扱いがぞんざいだったとしたら、それがその工務店の本当の姿勢だということが言えるでしょう。
もちろん、その人個人の個人的な問題がたまたま表れているだけということもあり得ます。しかし、だとしても、会社がそれを改めるように教育していないということは、やはり会社の問題なのです。
どのように考えても、その工務店は、いい会社とは言えないでしょう。
社員の人柄をさらに知るためには
工務店の社員の何気ない行動に注意しながら、さらにその社員を深く知ろうと思ったら、直接その人に質問してみましょう。
どんなことを考えて仕事をしているのか、何を大切にしているのか、ということを聞けば、その人の人間性がいちばんよくわかります。
単刀直入に聞いたりするのが気恥ずかしかったら、世間話から入ってみてください。
「ここはいい会社ですね」
「お仕事、楽しいですか」
うまく話がはずんだら、核心に迫ってみましょう。
たとえ会話がたどたどしくても、お客様の幸せを考えたその人なりの言葉があれば、それで十分に合格を出してもいいでしょう。長いこと返答に詰まるような場合は、もしかしたら、その会社はあまりよくないのかもしれません。それだけで悪い会社だと断言することはできませんが、会社が理念を教育していないことのあらわれかもしれないからです。
家づくりのパートナーとして工務店を選ぶときに、その工務店の経営者の考えを知ることも大切ですが、社員を見れば、それ以上に多くの判断材料が得られます。事務所や住宅見学会に行くときは、部署を問わず、なるべく多くの社員と接してみて、その姿勢を意識してみるようにしてみてはいかがでしょうか。
社員と話せば一発でわかる「いい工務店の見分け方」 まとめ
夢空間ハウスの信条は、
「心を正せば、あとは素のまま」
「心は技術を超える」
というものです。
人間は気づかぬうちに、どうしても自分の利益を優先しがちになってしまう習性があります。ですから、私たちは、日常のささいな行動であっても、それがお客様の幸せという目的にかなっているかということを基準に、つねに厳しく律しています。
テクニックに長けた営業マンはたくさんいますが、本当にお客様の幸せを願う心があるのなら、多少口下手であっても、その人の言動は自然とお客様の幸せにつながっていくはずです。
お客様の幸せのための安くていい家を作ることにおいては、夢空間ハウスはどこにも負けません。そんなふうに自負できるのも、志を同じくする職人さんがいればこそです。弊社では、じつは職人さんを採用するのに、3時間におよぶ「心の面接」を行います(50人に1人という合格率の「狭き門」です)。そんな私たちが選んだ職人さん、社員たちは、私たちの誇りでもあります。
一致団結してお客様の幸せを実現する。
これが、私たち夢空間ハウスが多くのお客様に選んでいただいている理由です。